意識して取り入れたいカルシウム
こどもに必要な栄養素ですぐに思いつくのがカルシウムではないでしょうか。
カルシウムは成長には欠かせない栄養素です。もちろん成人にとっても欠かせません。
私の運営するオンライン保健室の相談でもダントツに多いのが、”こどもの成長と栄養” に関する内容です。
その中から今回はカルシウムについてまとめてみました。
骨だけじゃない!カルシウムの大切なお仕事
カルシウムは、骨や歯を作る重要なミネラルです。体内のカルシウムの99%が骨や歯に存在し、残りは血液、筋肉、神経に分布しています。
骨や歯を作る働きのほか、細胞の分裂・分化、筋肉の収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などの働きがありカルシウムは生命維持に必要な栄養素であるといえます。
丈夫な骨を作るカルシウム
骨は2ヶ月〜5ヶ月のサイクルで、骨吸収と骨形成を繰り返しながら新しいものに入れ替わっています。これをリモデリングといいます。リモデリングを行いながら、丈夫な骨を維持しています。
成長期には、骨形成が骨吸収を上回り、骨量が増加していきます。
だいたい1年間に20〜30%の骨がリモデリングされ、3〜4年かけて全身の骨が入れ替わる感じですね。
ずっと同じ骨じゃないんですね。
骨吸収・・・破骨細胞が古くなった骨質を溶かし、分解することをいいます。これにより、骨のカルシウムが血液中に流失します。
骨形成・・・破骨細胞によって吸収された部分に骨芽細胞が新しい骨を作ります。この時にカルシウムが必要になります。
成長期は骨形成が旺盛で、どんどん骨が作られていくのでカルシウムがたくさん必要です。
骨はカルシウムの貯蔵庫
カルシウムは単に骨の材料になるだけではなく、生命維持に必要な様々な働きがあります。
血液中のカルシウム濃度が低下すると(カルシウム不足)、骨の中のカルシウムが血液中に流失し、生命維持に必要な細胞の機能維持や筋肉、神経の働きに利用されていきます。
つまり、骨はカルシウムの貯蔵庫の役割も果たしているのです。カルシウム不足の状態では、骨に蓄えられたカルシウムがどんどん消費されていってしまいます。
カルシウム不足では、骨の中のカルシウムが血液中に溶け出しどんどん消費されていきます。
イライラや癇癪はカルシウム不足?
カルシウム不足はイライラや癇癪(かんしゃく)の原因になるというのはよく聞きますが、本当でしょうか?
カルシウムには、神経興奮を抑制する働きがあります。
したがって、カルシウムが著しく低下する病気ではイライラなどの精神症状が出ることがあります(副甲状腺機能低下症、腎不全など)。
しかし、一般的なカルシウム不足が日常のイライラや癇癪の原因になったり、逆にカルシウムを十分補うと癇癪が減るということに関してはエビデンスがないのが現状です。
とはいえ、カルシウムが不足すると骨に蓄えられているカルシウムが血液中に溶け出して利用されてしまうわけなのでカルシウムは常に摂取する必要があります。
カルシウムを効率的に摂取しましょう
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりの推奨カルシウム摂取量はこどもで400mg〜1,000mgです(年齢による)。
毎日摂取するにはかなり大変な量です。カルシウムの特徴を知って、無駄なく摂取できるよう意識してみましょう。
カルシウムを多く含む食品を覚えよう
カルシウムといえば、乳製品、魚ですよね。特に乳製品は吸収率もよく、もちろん多くのカルシウムが含まれています。 関連記事:牛乳貧血に気をつけて!
そのほか、日常で使いやすい食品として、豆腐があります。豆腐は木綿豆腐の方が絹豆腐の約1.2倍のカルシウムが含まれています。
もっとすごいのが、高野豆腐!!
高野豆腐1個あたり (16.5g)、81mgもカルシウムが含まれています。地味な高野豆腐ではありますが、タンパク質や鉄分も多く含まれているので毎日食べているアスリートもたくさんいますよね。
私は料理家ではないのでレパートリーは少ないですが、すり下ろした高野豆腐をハンバーグに入れたり、チキンカツの衣に使ったりしています。
高野豆腐はカルシウムいっぱいのスーパーフード!
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます
ビタミンDはカルシウムが腸管で吸収されるのをサポートしてくれる栄養素です。カルシウムと一緒にビタミンDを摂取することは大切です。ビタミンDを多く含む食品はこんな感じです。
ビタミンDは食品からの摂取以外に、日光を浴びることで皮膚で生成することができます。紫外線Bが必要なので、窓越しの日向ぼっこではビタミンDは作られないことに注意してください。
日焼け止めの塗りすぎには注意しましょう。
知っておきたいカルシウムの吸収を阻害する因子
カルシウムはリンと結合し、リン酸カルシウムとして骨や歯に存在しています。カルシウムとリンは1:1の割合でいることが大切で、どちらかが過剰になるともう片方の吸収が抑えられてしまうからです。
他にもいくつか知っておきたい阻害因子があります。
スナック菓子や加工食品は要注意
スナック菓子や加工食品、インスタント食品にはリンが多く含まれています。またそのリンは無機リンといって、体に吸収されやすいタイプのリンになります。
食べすぎると容易にリン過剰になり、カルシウムの吸収に悪影響を及ぼす可能性があります。
ナトリウムm(塩分)の摂りすぎ
ナトリウムを摂り過ぎると、尿中のカルシウム排泄量が増加します。
つまり、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
シュウ酸を多く含む食品
ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれています。ほうれん草と牛乳を同時に摂取すると、牛乳に含まれるカルシウムの吸収が低下することがわかています。※茹でてアク抜きをすれば、シュウ酸を減らすことができます。
シュウ酸は、ほうれん草やさつまいも、竹の子などに多く含まれますが、シュウ酸は水溶性なので調理する過程でかなり量が減ると考えられます。
カフェインの摂りすぎ
カフェインはカルシウムの排泄を増やし、吸収を低下させます。大量に摂取することは避けた方が良いでしょう。
※コーヒーやお茶を1日に1,2杯飲む分には骨への悪影響はありません。
摂り過ぎには注意が必要です。
まとめ
こどもの成長には欠かせないカルシウムについて説明しました。ちょっと意識するだけで無駄なくカルシウムを摂取することができます。
もちろん大人にとっても必要な栄養素です。家族みんなで丈夫な骨を目指しましょう。
個別にいろいろとご質問、ご相談がある方は、オンライン保健室をご利用ください。
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