こどもの体力低下、増えるケガ。顔をケガするこども達。

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母ちゃん先生
母ちゃん先生

2020年は新型コロナウイルスにより私達の日常が大きく変わった年でした。この非日常の中で気になっているのことが『こどもの体力低下』問題。

このことは以前から問題視されていますが今回のコロナによってさらに深刻化するのではと危惧されています。

こどもの体力低下がとまらない

こどもの体力低下についてはメディアでよく取り上げられています。現代っ子の特徴なのかと思いきや、実は昭和60年以降こどもの体力は低下しており、もう30年以上になります。

令和元年度の小学校5年生及び中学校2年生における体力合計点について、平成20年度の調査 開始以降の推移をみると、令和元年度は小・中学生の男女ともに低下した。小・中学生とも に、女子よりも男子の方が大きく低下しており、特に、小学生男子は過去最低の数値であっ た。
                                          スポーツ庁 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について

その原因とは

もちろん運動不足が原因であることは間違いありません。ではなぜ運動不足になっているのでしょうか。

1. こどもを取り巻く社会環境の変化

・便利になった生活:
車での移動、エレベーターの使用増加、洋式トイレの普及など
⇒ 歩数の減少、立ち上がり動作の減少といった日常動作の簡便化による運動不足


テレビの視聴、ゲーム、スマートフォンの利用時間(スクリーンタイム)の増加
⇒ 外遊び時間の減少による運動不足

平日1日あたりの映像試聴時間が長時間になると体力合計点が低下する傾向にあった
          スポーツ庁 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について

・社会環境の変化:

遊び場(公園など)、屋外遊具の減少、治安面での不安
⇒⇒⇒ 外遊び時間の減少遊びの種類の減少による運動不足

2020年はコロナウィルスの影響もあって外遊び時間はさらに減少していると言われています。

2. 生活習慣の影響

・不規則な生活:
家庭の事情などによる夜型の生活、睡眠不足
⇒⇒⇒ 朝起きられずに朝食を抜いてしまう

朝食を毎日食べる児童生徒はそれ以外と比較し体力合計点が高い傾向にあった
            スポーツ庁 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について

朝食も体力に影響してるんですね!

・栄養バランスの乱れ:
⇒⇒⇒ 体の成長への悪影響、肥満を引き起こす

体格が肥満の児童生徒は普通の児童生徒に比べ、総合評価が低い割合が多かった
                 スポーツ庁 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について
 
 

体力低下が及ぼす悪影響

増えるケガ

親世代では考えにくいような軽微な外力、日常的な動作でのケガが増えています。

”なぜその動作で骨折をするの?” ”なぜそんな所をケガするの?”

跳び箱で手をついた際に両手首を骨折
転んだ時に顔面から落ち顔、頭をケガ
キャッチボール時に顔でボールを受けケガ
雑巾掛けでのケガ など

また、和式便座でしゃがめないこどもも増えています。
和式便座はほとんど見かけなくなりましたが。。。

ママ
ママ

ヤンチャすぎてケガをするのかと思ってたけど。。。

ママ
ママ

運動神経が鈍くなってるのかなぁ?

過去30年で骨折は1.5倍も増加している                    
                 日本スポーツ振興センター『学校の管理下の災害』データより
ケガの部位について
 園児: 全体の6割が顔部、頭部のケガ、手・手指も多い
 児童、生徒: 手・手指が最も多く、ついで足関節が多い
                 日本スポーツ振興センター『学校の管理下の災害』データより

【ケガの原因】
園児、低学年児童では転倒と衝突によるものが多く、
中学生では体育系部活動によるケガが多くなっています。

自己防衛反応が低下したこども達

人は本来、転んだ時はとっさに手を前に出し、体を支えることで顔面、頭部を守ることができます。しかし、最近のこども達はこの反応が低下しているようです。

つまり、顔や頭から転んでしまう子が増加しています。
また、とっさに手が前に出ても上手く体を支えられずに手首を骨折してしまったり、やはり顔や頭から転んでしまうという子も増えています。

いろいろな動きの経験不足

小さい頃から運動の機会(特に外遊び)が少ないことでいろいろな環境(坂道、泥、砂利石、砂場など)での運動が経験できないこどもが増えています。

こども達はいろいろな環境の中でいろいろな動作を経験することで、バランスの取り方や体の動かし方を学習していきます。この経験が少なくなることは自己防衛反応の低下にもつながります。

乳児期の”はいはい” 不足が関係?

体を支える力と赤ちゃんの頃の”はいはい”が関係しているのではないかとも言われています。
”はいはい”によって腕の力が鍛えられたり、手・足のバランスを取る経験値をあげることができます。

【”はいはい”のメリット】

 ・腕の力が鍛えられる
 ・手・足のバランスを取る運動経験となる
 ・体のバランスを取る練習になる
 ・転んだ時、身を守る手が素早く出るようになる

しかし最近は、”はいはい”の期間が短い、あるいは”はいはい”をしない赤ちゃんも増えているようです。

【”はいはい”の機会が減ってしまう要因】  

 1. つかまり立ちがしやすい環境での生活
  ・テーブルや家具などつかまりやすいものが多い部屋
  ・サークルなどで囲まれた狭い空間
  ・歩行器の愛用
   →”はいはい”をせずに移動することができてしまうため
  ・早く歩かせたいという保護者の願望 
   →つかまり立ちや歩行器の使用を促してしまう傾向にあります

 2. 至れり尽くせりな環境
  自分で移動しておもちゃを取ってくる必要がない環境では、”はいはい”をする
  必要がなくなってしまいます

赤ちゃんにとって”はいはい”は優れた全身運動です。
可能な範囲で”はいはい”をしやすい環境を整えてあげてください。

 

【注意】
環境を整えても、”はいはい”をしないこども達もいます。
こどもの個性でもあるので、無理な強制や練習は必要ありません。

体力アップのための対策

日常生活を安定させよう!

体力アップのためには運動をする時間を確保することが大切ですが、
運動時間を確保するためにはまず生活習慣を見直し、日常生活を安定させる必要があります。

1. 朝食を毎日食べる

朝食を毎日食べるこども達は毎日食べないこども達に比べ、週の総運動時間が長い傾向にあることがわかっています。
体力測定結果においても、総合得点が高い傾向にあることが複数報告されています。

また、こどもの肥満防止の点からも朝食を毎日食べることは非常に大切です。


2. テレビ等の視聴時間(スクリーンタイム)を減らす

スクリーンタイムが1日3時間以上のこどもは週の総運動時間が短かったという報告が出ています。

スクリーンタイムを減らして運動時間を確保することは肥満防止にもつながります。適正体型の維持は体力アップに良い影響を与えます。

理想としては、1日1時間以内のスクリーンタイムを目指したいところです。

3. しっかり睡眠時間を確保する

特に児童、生徒では睡眠時間の減少と体力低下には関係があると複数報告されています。

ママ
 

夜更かし → 睡眠不足 → 朝寝坊 → 朝食抜き…

ママ

元気が出ない → 運動したくない → 体力低下…
悪循環ですね。

意欲や集中力の低下、成長ホルモンの分泌低下にもつながります。

【小学生に推奨される睡眠時間】
8〜10時間のまとまった睡眠が必要とされています。
理想は10時間と言われています。(例 夜8時就寝、朝6時起床)

※ 同じ10時間睡眠でも、遅寝遅起きではなく、早寝早起きであることが重要!


【未就学児に推奨される睡眠時間(昼寝+夜寝)】
1〜2歳  11〜14時間
3〜5歳 10〜13時間

               National Sleep Foundation’s sleep time duration recommendations参照

もっと運動をしよう!でもどうやって?

 

やっぱり外遊びは重要

【幼児期】
遊びを通じた運動習慣の定着を目指す

おおよそ小学校入学前までの時期は最も神経系が発達する時期でゴールデンエイジと呼ばれます。
関連記事:知っておきたいゴールデンエイジ

五感をフルに使い、多くの刺激を経験することで脳の発達を促します。
またそのことが運動能力の向上につながっていきます。さらに毎日しっかり遊び体を動かすことが、将来の運動の習慣化にもプラスになります。

当然ですが、こどもが楽しんでいることが前提です。
こどもが好きな遊びを自由にできるよう見守ってあげる必要があります。

せっかく公園に来たのだから、目一杯走り回ったり、遊具を登ったり降りたりして欲しいのが親の正直な気持ちです。ついつい「砂場じゃなくて遊具で遊んだら?」などと言ってしまいます。
しかし体力を使ってないように見える砂場での”おままごと”も、砂の感触を覚え、しゃがんだり立ち上がったりと立派な運動なのです。遊び方の強制はお勧めしません。

 

  • たくさん歩き、たくさん走る
  • いろいろな動きを経験する
  • いろいろな場所で遊ぶ
  • いろいろなリズムで体を動かす
幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切。
                                 文部科学省 幼児運動指針より

 

この60分の中には、外遊びだけでなく、散歩やお手伝いなどの身体活動時間も含まれます。

【学童期】
社会性の獲得にも影響を与える

塾や習い事、宿題などの時間が増えてくるこの年代では外遊び時間の確保が難しくなります。
遊びや運動よりも勉強が優先といった家庭もあるかもしれません。

この時期のこども達もまだまだ発達段階です。外遊びからの刺激は脳の発達に良い影響を与え運動能力を向上させます。
また遊びを通して社会性を身につけていく重要な時期です。遊びと勉強のバランスをとってあげる必要があります。

 

勉強の合間に外遊びを与えられたグループのこども達の方が、1日中勉強をしていたグループよりもその日の終わりのテストの成績が良かったと言う研究報告もあります。

室内遊び・運動を充実させよう

なかなか外で遊べない時は家の中でできる遊び・運動を取り入れてみてください。
すぐにできて全身運動になるものをいくつか紹介します。

 

【親子でくるりんぱ】

これはよく知られていますよね。
ウチの2歳の息子も大好きです。
登る、両腕で体を引き上げる、回転、着地といろいろな動きが含まれています。

 

【押し車】

両腕を鍛えるだけでなく、腰や腹筋もしっかり使う全身運動です。
また両下肢もしっかり力を入れないと膝折れしてしまうのでとても体力を使います。

 

【全身ジャンケン】

グー:体を丸めてしっかりしゃがむ 
チョキ:右手足、左手足を前後に出す
パー:両手足をしっかり大の字に広げる

この全身運動はお勧めです。
”次は何にしようか”考えながら体を連動させる高度な遊びです。
そして勝敗があるので盛り上がります。

 

【トンネル&ジャンプ】

これもウチの息子は大好きです。
トンネルの高さを徐々に低くしていったり工夫すると飽きずに楽しんでいます。

※ まだジャンプが上手にできない子の場合は、親の腰や足の上にこどもが着地してしまい、親が負傷する可能性があるので注意してください。

 

【空中自転車】

両下肢を鍛えながら、相手の動きに合わせてリズムよく体を動かす感覚も養います。       

 

いろいろな団体から室内で楽しめる遊び・運動が紹介されているので参考にしてみてください。
例:
日本スポーツ協会 アクティブ・チャイルド・プロジェクト
日本レクリエーション協会ホームページ

 

スポーツクラブに参加してみる

地域のスポーツクラブ(体操教室、運動教室、サッカークラブ、スイミング、リトミックなど)に参加してみることも有効です。※コロナ禍でもオンラインで講師から指導を受けられる運動教室もあります。

両親以外の大人(講師)や様々な年齢の仲間と一緒に活動することで、体を動かすことの楽しさを深めることができるといった利点があります。

決して技術獲得を重視したスポーツ活動ではなく、こどもが楽しく体を動かせることを重視したものであることが重要です。

部活動という概念のないドイツでは多くのこども達が利用しています。サッカー、体操、スイミングが人気です。

まとめ

従来より心配されているこども達の体力低下についてまとめました。
日常生活(食事、睡眠)が与える影響、外遊びの重要性、対策としてすぐに取り入れられる方法を提案しました。ぜひ参考にしてみてください。

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