朝起きたら急に歩き方がおかしかったり、歩きたがらなかったり。。。子育て中にはいろいろ起こる急な***。
先日もご相談いただきました。
朝から歩き方がおかしいというもの。
今回はその原因の一つで外来でもよく遭遇する単純性股関節炎についてです。
どんな症状
- 幼児期から学童期初期のこどもに最も多く発生
- 典型的な症状として、
・朝起きるとなんだか歩き方がおかしい
・足が痛いと言う
必ずしも股関節(足の付け根)が痛いと言うわけではないことに注意
膝やスネなどが痛いと言うこともあります(下記tips参照)
- その他、微熱が出ることもあります
原因は?
原因についてははっきりわかっていません。
ただ多くの例で、発症の1,2週間前に風邪症状(鼻水など)を認めることから、ウイルス感染が関係しているのではと言われています。
個人的な印象としては。。。
チョロチョロよく動き、やんちゃな子に多いなぁと言う感じです(うちの息子含む)
※あくまでも個人的な印象であり医学的な見解ではありません
股関節がどうなっているの?
股関節はなんらかの炎症によって水が溜まっていることがほとんどです(水腫)。
外来ではエコー検査をすることがほとんどだと思います。
エコーでは水腫の存在がよくわかります。
水が溜まって股関節内の圧が上がり痛みが出ます。
※股関節以外を痛がることがあります。
皮膚上の知覚神経の分布の関係で、股関節に原因があっても膝やスネが痛いと感じることがあります。特にこどもでは多いです。
単純性股関節炎では、骨や軟骨に異常はありません。
治療法は?
基本的には安静にすることで1週間程度で改善します。
ウチの子、安静なんて絶対できないです〜。
そうですね。この年齢では難しいですよね。
外遊びをやめたり、ジャンプするのをやめさせるだけでもがんばりましょうか。
それだけでもいつもよりは安静になっているはずっ!!
単純性股関節炎は1回罹患しても、また別の機会に罹患することがあります。
3回繰り返し単純性股関節炎を発症したこどもさんの経験があります。
他の病気の可能性は?
【鑑別疾患】 ※似たような症状なので区別することが大切です
- 骨折、不全骨折
転倒、転落などの外傷によって生じることが多い※ 歩けるからといって骨折は否定できません。
こどもの骨折は枯れ木のようにポキっと折れず、若い木のようにグニャッとなる(若木骨折といいます)だけの場合、歩けることが多いのです。関連記事:急なこどもの歩行困難②*下肢の骨折*
- 化膿性股関節炎
股関節に膿(うみ)が溜まり股関節痛を生じる細菌感染症です。
診断・治療が遅れると、細菌により骨や軟骨が溶け関節が変形してしまう可能性があります。
股関節部分が熱を持ったり、腫れたり、また発熱したりします。単純性股関節炎よりも重篤感があります。
- ペルテス病
発症年齢は単純性股関節炎よりもやや高く、学童期以降が多いです。
股関節水腫、歩行異常と単純性股関節炎とよく似た初期症状を示します。
徐々に股関節(特に大腿骨頭)が変形していく疾患です。
単純性股関節炎と診断されても、症状や関節水腫が長引く場合はMRIでの精密検査が必要です。
まとめ
単純性股関節炎について
- 幼児期から学童期初期に多い
- 風邪症状後に発症することが多いが、原因がわからない例も多い
- 突然の歩行異常、痛みを認める
- 股関節痛以外にも、膝痛、下腿痛が種症状の場合もあり注意が必要
- 治療は安静にすることが一番
- 治療が必要な類似疾患があるため、医療機関を受診し鑑別してもらう必要がある
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