こどもの足の変形①:巻き趾 (Curly Toe)

こどもの足の変形
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よく相談を受けるこどもの足の変形を少しずつ紹介していきます。

今回は巻きゆびです。

足趾の見た目からCurly Toe(カーリートゥ)とも呼ばれています。

巻き趾 (Curly Toe)とは?

巻き趾は比較的よく見られるこどもの足指の変形です。

足指が足の裏側に屈曲し、さらに内反(外側にねじれる)しています。

多くは第4趾、第5趾に起こり、両足(両側性)に認めることが多いです。

しばしば家族性に認めることがあります。

   両側第4,5趾のcurly toe

原因は?

多くの場合、はっきりした原因はよくわかっていません。

何らかの理由で足指の足底側にある長趾屈筋や短趾屈筋(足指を曲げる筋肉)が伸筋(伸ばす筋肉)よりも強く、硬く(専門用語では拘縮と言います)なることで特徴的な変形となります。

生まれつきの変形と生まれた後に起こる変形に分けられます。

  1. 先天性
    生まれつき巻き趾を認めることがあります。
    遺伝的要素があり、よく観察すると親も同じような足指の形をしていることがあります。
  2. 後天性
    生後の足の環境によって徐々に変形することがあります。

    ・サイズの合っていない靴
    足先の幅が狭い靴、大きすぎる靴によって足指がキュッと圧迫されたり、靴の中で足が滑って足指がしっかり使えない状況

    ・足の筋肉が未熟
    成長途中の筋肉およびそのバランスが未熟なために生じる

症状は?

ほとんどの場合、無症状です。ですから、こども自身は変形に気付いていません。

痛みがないのでこども自身は気が付かないことがほとんですね。
生活に困る症状がないので、一般の整形外科を受診してもしっかりと説明してもらえないことがあります。

ママ
 

それでも親としては心配ですよね。。。

変形している足指が隣の足指にオーバーラップしてくると違和感、痛みを感じる場合があります。
足の環境によっては、赤くなったり靴ずれができることもあります。

診断方法

視診、触診によって、その特徴的な変形から診断されることがほとんどです。
レントゲンを撮ることはほとんどありません。

よくある変形なので視診、触診で診断がつく場合、無理にレントゲンは必要ありません。少量とはいえレントゲン被曝を抑えることは大切です。

レントゲンを撮ってもらえなからといってヤブ医者というわけではありません!!

※非典型的なもの(例:他の疾患に続発する症候性のもの)や手術前の準備、医師の直感が働く時(何か典型例とは違うな?)などでレントゲンを必要とすることもあります。

治療方法

1. 保存治療

症状がなければ、一般的には経過観察となります。
それは成長と共に自然によくなる症例があるからです。
また、変形が持続してもその後の生活に支障をきたすことはほとんどないからです。

多くの報告では、テーピング固定は推奨しないとされています。

おおよそ25%の症例が自然によくなると報告されています
Sweetham R. Congenital curly toes: An investigation into the value of treatment. Lancet 1958; 2(7043): 398-400.
 
 

2. 手術治療

 
6歳以上で痛みなどの症状が続く場合に考慮されます。
具体的には、足底にある硬くなった屈筋の腱を切除し足指が曲がるのを抑える術式(腱切り)、屈筋腱を伸筋側へ移行する術式(腱移行)が症状によって単発もしくは併用されます。
 
症状があっても、6歳頃までは経過観察が推奨されています
(自然に治る可能性が残されているため)
 
 

経過観察だけで大丈夫?

治療方法でも述べましたが、多くの場合は特に治療は必要とせず、経過観察になります。経過観察なので言われれば安心といえば安心ですが、何となくスッキリしない親も多いと思います。

少しでも良い状態の足に成長して欲しいというのは親の当然の願いですから。

(症状の改善というよりは)これ以上悪化させないためにご家庭でできることを紹介します。

靴選び

巻き趾に限らず一般的に大切なポイント

小さい靴、幅の狭い靴は履かない

  • 靴のサイズは足長 + 5〜10mm程度を選ぶ
  • 足囲を測って足幅(EとかEEなど)を知る:長さだけでなく横幅も考慮します
     こちらの靴メーカーのサイトがわかりやすいです→ サイズの測り方
                      → 足囲から足幅のタイプを知る
靴の中敷を取り出し、その上に直接足を置くと(立位で)、長さ/足幅のフィット感が目視できます。
 
横ストラップでしっかり固定できる
  • 履く手間、固定性を考えるとヒモ靴よりもストラップの方が便利
  • 靴の中で足が前方に滑ることを防いでくれます
  • 靴の中で踵の位置がズレにくくなります

踵部分がしっかりしていて、よくフィットしている

  • 踵部分を左右から押さえたときに潰れないかチェックします
  • 柔らかい靴は踵を保持できないので、骨格が未熟な年齢では外反扁平足を助長することがあります

靴のソール部分が硬すぎない

  • 硬いと地面をしっかり蹴り返すことが難しくなります
  • 前1/3あたりに弾力があり手で軽く反らすことができるものが良いです

裸足のススメ

巻き趾を直接治すわけではありませんが、裸足で走り回ることは足の成長に重要です。
少なくともお部屋の中では裸足での生活をお勧めします。

 

 

 

足指運動をお遊び感覚で

これも巻き趾の治療ではありませんが、足の成長のために早くから取り入れることをお勧めします。足、ふくらはぎの筋肉を鍛えることになるので最近のこども達に増えている外反母趾や扁平足の予防につながります。関連記事:こどもの足の変形②:(外反)扁平足

足指ジャンケン

  足の指でジャンケンをします。これがなかなか難しいのですが良い足指運動です。

 

 グー:足指を全てしっかり屈曲    

 

 

 チョキ:足の親指をしっかり反らす(伸展)

 

 パー:足指を全てしっかり開く

 

 

タオル集め

足指で床に引いたタオルを集めていきます。

 

難しい場合は、床に落とした布切れや積み木などを足で拾いあげる運動(という遊び)もあります。

 

あくまでもトレーニングや治療ではなく、遊びとしてやっていきましょう
 

まとめ

 

  • 巻き趾(Curly Toe)はよく見かけるこどもの足の変形です
  • 原因ははっきりわかっていませんが家族性に起こることがあります
  • 痛みを伴うことは稀で一般的には経過観察となります
  • 成長とともに自然に改善する症例が約25%と報告されています
  • 痛みや水疱などの症状が続く場合は、6歳以降に手術をするのが良いとされています

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