※ 特に若木骨折と呼ばれる、こども特有の骨折についての記事です。
朝起きたら急に歩き方がおかしかったり、歩きたがらなかったり。。。
急に起こるこどもの歩行困難。今回は”骨折”です。
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さすがに骨折してたらすぐわかると思うんですけど。。。
確かにはっきりポッキリと折れていると明らかにわかりますよね。
でもこどもの骨はいつもポキっと折れるわけではないのです。
大人とこどもでは骨の性質が違うので、こども特有の骨折というものがあるんです。
こどもの骨の特徴
振り仮名生命力あふれるこども達の骨はお肌同様に水分が多く瑞々しい状態だと思ってください。
成長途中にあるので成長軟骨(いわゆる成長線)など軟骨成分が多く、大人と比べ柔らかくしなやかなです。また、骨へ栄養を送る骨膜と呼ばれる骨を包んでいる膜は大人よりも分厚くしっかりと骨を保護しています。
昔からこどもの骨は、新緑の時期の若木に例えられます。一方で大人の骨は乾燥してポキっと折れてしまう老木といったところでしょうか。
・軟骨成分が多いため、柔らかくしなやかである
・成人と比べ骨を包む骨膜は分厚くしっかりしており骨を保護している
こども特有の若木骨折とは
いわゆる骨折のイメージとは異なり、ポキっと折れず、症状も軽度でレントゲンでもわかりづらいこどもの骨折を若木骨折と呼びます。これは上記したこどもの骨の特徴によるものです。
瑞々しい若木を手で折ろうとしても、グニャッとなるだけでポキっとは折れませんよね?そのイメージです。
原因
他の骨折と同様に転倒、転落によるものが多いです。
症状
他の一般的な骨折と同様、腫れや痛み、それによる歩行困難があります。
しかし、若木骨折の場合は上記症状が軽度で歩ける子もいる!!ということを忘れないでください。
骨膜がしっかりしていること、ポキっと完全に折れていないことで初期症状が軽いのがその理由です。
”少し足をひきづってるな”、”少し痛そうだな”という程度のことが意外に多い。
またそれほど腫れないこともありますし、怪我をした翌日になって症状が出ることもあります。
診断
骨折の診断はレントゲンによってなされますが、レントゲンでははっきりと骨折がわからないことがあるのも若木骨折の特徴です。
治療
保存的治療
症例の多くは保存的治療になります。
・固定
シーネ(添え木のようなもの)固定やギプス固定を行います。
骨折の程度によっては、徒手的に(医師の手でグイッと)変形を矯正してから固定する場合もあります。
・免荷(骨折部に荷重をかけない)
しばらくは歩行禁止(免荷)の指示が医師から出ることがほとんどだと思います。
歩けるからといって歩いていると(荷重をかける)、骨折部が悪化することがあります。
つまり、軽度であった骨折部がポキっと完全に折れ、ズレてしまうということです。
幼児期であれば、いかに歩かせないようにするかが一番難しいかもしれませんね。
手術的治療
若木骨折であっても変形の程度が強い場合や骨折部が不安定な場合には手術が必要になることがあります。
その場合、経皮的に(皮膚を大きく切ることなく)径1.5mm-2mmほどのワイヤーを2,3本入れ固定する方法が一般的です。
一般的な経過
年齢にもよりますが2、3週間ほどで骨の再生がレントゲンで見え始めます。その頃には痛みも消えていることがほとんどです。
免荷などの指示が守れるようなお子さんの場合は、この時点で固定を外すこともありますが守れなさそうな場合は、骨がしっかりするまで固定を継続する医師が多いのではないでしょうか。
また成長著しいこどもの場合は、自家矯正力が高いので多少の骨折部の変形は問題なく自然に矯正されていきます。したがって適切な治療を行えば、大きな後遺症を残すことは稀です。
※自家矯正(リモデリング):骨折などによる骨の変形が成長とともに自然に元の形態へと戻っていくこと
こどもの場合、レントゲンで骨折部がズレて変形していても自然に矯正されます。
経験豊富な専門医は自然に矯正される範囲のズレなのか、そうでないのかを判断することができます。
まとめ
こども特有の若木骨折について説明しました。症状が軽く、足をひきづってはいるが歩ける場合もあり注意が必要です。こどもの場合、歩けるからといって骨折を否定できないということを知っていただければと思います。
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