運動不足や筋力低下を原因とする子どもの扁平足が増えています。
また外反母趾の低年齢化も心配な問題です。
やっぱりそうなんですね。
ウチの子も扁平足じゃないかなって思ってるんです。
外反母趾っておばさんの足の変形だと思ってたのに。
扁平足ってどんな足?
扁平足とは、足の裏の土踏まずが消失し、ベタっとした外観の足のことです。
※整形外科的には外観だけでなく、骨(正確には舟状骨)の高さ(位置)が規定値よりも下がっている足を扁平足と診断します。
土踏まずがないことで様々な体の問題が生じてしまいます。
土踏まずとは
土踏まずは徐々に形成されていきます
土踏まずは足底内側に見られる山型のアーチ部分のことを指します。このアーチは3歳頃から発達が始まり、10〜12歳頃には大人のようなしっかりとしたものになっていきます。つまり、新生児や歩き始めの子どもには土踏まずはほとんど見られません。
成長と共に足や下腿の筋肉が鍛えられることで徐々にアーチが形成されていきます。
足底アーチの役割
足底アーチには、土踏まずを作る内側縦アーチの他に、外側縦アーチ、横アーチがあります。
それぞれ少しずつ担う役割が違うのですが、まとめると以下のような働きがあります。
- 衝撃を吸収する
- 歩行時の推進力となる
- 歩行時の左右、前後の揺れを制御する
歩行時に足底にかかる衝撃がどれくらいか知っていますか?
道路を歩く際、体重の5〜6倍の衝撃がかかっているそうです。それをアーチが緩衝してくれているのです。
その衝撃は膝や股関節、腰にも悪影響を与えます。
扁平足の原因
①運動による影響
低年齢の子どもたちでは骨の部分はまだ軟骨成分がほとんどで、靭帯は緩んでいます。まだ足のアーチが十分に形成されていません。これ自体は自然なことなので心配は要りません。
問題なのは、成長と共に形成されていくはずのアーチがうまくできない子どもがいるということです。アーチがうまく形成されないのは足や下腿の筋肉の発達が体や足の成長に追いついていないからです。
つまり、運動不足ということになります。子どもの場合、運動というのは特別なトレーニングではなく日常の走ったり、登ったり、飛んでみたりといったことです。外遊びの減少が子どもの扁平足に大きく影響しているということです。また肥満も拍車をかけます。関連記事:外遊びが最大のトレーニング
②靴の影響
低年齢の子どもの場合、靴の影響は少ないかと思います。しかし足はまだ柔らかく不安定でなので、靴を履く場合は、裸足で歩く時のように地面を足指でしっかりと把持することが難しくなります。
③その他
ダウン症などの関節弛緩性のある疾患や先天性垂直距骨、先天性足根骨癒合症という疾患も原因となります。
扁平足の症状
足の外観はどんな感じ?
- 土踏まずの消失
立位では土踏まずは消失しますが、体重をかけない状態では土踏まずを認めることがほとんどです(柔らかい扁平足)。一方、基礎疾患に伴うものでは体重をかけていない状態でも土踏まずは消失しています(硬い扁平足)。
- 靴のソールの内側の擦り減りが激しい
- 踵が内側に倒れているように見える
足の内側に体重がかかりやすくなっているために生じます。特に踵部分の内側が擦り減っている場合は、踵の骨が内側に傾いてしまっていて(踵の外反)、特に外反扁平足と呼ばれます。後ろから見ると踵が下腿に対して”ハの字”になっています。傾きが強くなると、足の外側が地面から浮いてくることもあります。
自覚症状はあるの?
幼児期の扁平足では特に痛みなどの自覚症状はないと言われています。扁平足のせいでよく転ぶということもありません。保護者が子どもの扁平足に気づき、心配になって受診するケースがほとんどです。
学童期後半以降の子どもでは自覚症状を伴うことがあります。
- 足がだるい、疲れやすい
アーチによって衝撃が緩衝されないので効率よく蹴り返し、前に進む推進力が得られないため - 足の内側に痛みがある
内くるぶしの前下方あたりに骨が突出し(距骨頭)、その部分が靴に当たることで痛みが出てしまう - 足の親指の付け根に痛みがある
外反母趾を伴い、痛みができしまう
外反母趾が低年齢化していることは知っておいていただきたいです。
扁平足の治療
経過観察
子どもの柔らかい扁平足のほとんどは自然に改善すると言われています。したがって様子を見ることになります。ただ足底のアーチをしっかり作るためには足や下腿の筋肉が発達することが大切です。裸足で過ごすことが推奨されているのもこのためです。またしっかりと外遊びをしたり、室内でも工夫して活動性の高い遊びを取り入れることが必要です。関連記事:もっと運動をしよう!でもどうやって?
適切な靴を選ぼう
歩行開始後〜
基本的には一般的な靴を選べば良いです。サイズが合ったものを履かせてあげてください。
踵が傾く外反扁平足の場合は、踵部分が柔らかすぎない素材でかつ踵によくフィットした靴を選ぶことが大切です。歩き始めではハイカットシューズが良い場合もあります。関連記事:靴選び
学童期〜
靴の選び方の基本は幼児期と同じです。
デザイン重視でつま先の狭い靴、ヒールのある靴はお勧めしません。また踵を踏んで履く癖がある場合は直すよう促してあげる必要があります。靴が激しく擦り減ったままでの使用しないよう時々ソールを確認してあげてください。
足底挿板(中敷)の使用
3、4歳以降で外反扁平足が強くある場合には、アーチサポートのある中敷を使用したり、靴の補正(体重が外側にかかるよう)を行うことがあります。
また3、4歳以前であっても足の外側が浮いているような場合にも中敷を使用することがあります。
子どもの柔らかい扁平足の治療は病院によって様々です。
積極的な治療
先にお話ししたように、ほとんどの扁平足は成長とともに足の筋力がついてくれば改善していきます。
しかし、足が十分に成長した後も扁平足が改善せず、痛みを伴う症例では手術などの積極的な治療が必要になることがあります。
また基礎疾患に伴う硬い扁平足で痛みがある場合は、中敷や装具では改善しないので手術が必要になります。
扁平足を予防しよう
もともと新生児期から3歳頃までは扁平足です。その後、生活の中で自然に足の筋力がつき、土踏まず(足底アーチ)ができ、扁平足は改善していきます。この『生活の中で自然に足の筋力がつく』というのは子どもの場合は、『遊びを通じて』と同義語かと思います。現代社会ではあえて意識をしないといけないことかもしれません。
乳幼児期
- 外遊びの重要さを理解し、積極的に環境を整える
- 室内でも活動性の高い遊びを工夫する 関連記事:もっと運動をしよう!でもどうやって?
- 裸足での活動を積極的に取り入れる
学童期以降
- つま先の細い靴、ヒールの高い靴は控える
- 足指の運動を積極的に取り入れる 関連記事:足指運動をお遊び感覚で
- 外遊びと学業のバランスを取る
まとめ
- 生まれてから3歳頃までは誰でも扁平足
- 体や足の成長に足、下腿の筋肉の発達が追いつかないと扁平足になりやすい
- 足に合った靴選びを心がける
- 子どもの扁平足では、痛みなどの症状はないが、自然改善しなければ外反母趾に繋がることがある
- 積極的に活動性の高い遊びを取り入れて、足の筋力を高める必要がある
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